今どきの車はめったに壊れないので10万キロなんて全然余裕です。
新車同様とまでは言いませんが、10万キロ程度の走行距離だとなんら問題なく車としての機能が維持されているのが普通です。
その一方で中古車の値段は10万キロを境に大きく下がります。
中古車業界では「大台」と呼ぶ走行距離で、中古車の査定金額も人気車種以外は基本ほぼゼロ査定です。
中古車の値段としては激安になるけど車としての機能は全く問題なく、まだまだ余裕で乗ることができる。
これが10万キロ超えの中古車はコスパ最強!と言われる理由です。
安く程度のいい中古車を探すには、10万キロ以上走った中古車を探すのがポイントなんですね!
闇雲に10万キロ以上走った中古車を探せばいいってわけではないよ。コスパに優れた中古車を見つけるにはしっかりと中古車の素性を見極める必要があるんだよ。
当記事では10万キロ超えの中古車を選ぶにあたり押さえておきたいポイントなどを詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧いただき中古車選びの参考にしてみてください。
車の寿命からみた走行距離10万キロ
自動車メーカーが新型車を開発する時、車の寿命ってどれくらいを想定しているかご存じですか?
結論から言うと、自動車メーカーが想定する車の寿命から見ても走行距離10万キロというのは全然問題ないレベルです。
自動車メーカーが車を開発して世の中に送り出す時、その車の市場での寿命は15年24万キロを想定しています。
なので10万キロの走行距離は車の寿命の半分以下ということになりますね。
マラソンでいえば折り返し地点のまだ手前。
全然元気な状態です。
ただそれは、その距離に至るまできちんとコンディションを管理しベストな状態が保たれていたというのが前提です。
マラソンでいえば、適切なタイミングできちんと水分が補給されて、限界ギリギリの負荷がかかっていない状態が保たれている状態。
自動車でいえば、定期的なオイル交換などのメンテナンスがきちんと行われていて、市場走行で想定される負荷頻度の範囲で使われているということです。
その状態を保ちながら使われていれば、自動車メーカーの想定する寿命さらにはそれ以上の走行距離でも余裕で走ることができます。
具体的な例でいえばタクシーです。
タクシーは市場で想定される負荷頻度の範囲内で運行しながら法律で定められた定期点検を確実に行っています。
その結果、20万キロどころか30万キロや40万キロ走ってもまだなお現役で活躍し続けている車両がたくさんあります。
自動車はきちんとメンテナンスされていれば、10万キロでも20万キロでも全然問題なく走ることができるんですね。
逆に言えば10万キロ超えの中古車を選ぶときも、その中古車がきちんとメンテナンスされながら大事に乗られてきたか?を確認するのが重要なんだ。
10万キロオーバーの中古車を選ぶときはなにを確認すれば大丈夫?
それでは実際に10万キロオーバーの中古車を選ぶときにチェックするポイントを紹介していきます。
エンジンオイルのメンテナンスがきちんとされてきた車かどうか
エンジンオイルは人間の体でいえば血液に相当するものです。
私たちの体も血液が足らなくなってうまく循環できなくなったらどんどん調子が悪くなって、最悪の場合は死んでしまいます。
自動車も同じく、自動車が走り続けるためにはその原動力を生み出す内燃機関であるエンジンがしっかりと作動し続けなければなりません。(EVは除く)
エンジンの内部では、高速でピストンが上下運動を繰り返しながら車を走らせるのに必要な動力を生み出しています。
高速で上下運動するピストンはピストンリングを介してシリンダーと擦れあっているので、摩耗や焼きつきを防ぐためには潤滑と冷却が必要でその役割を担うのがエンジンオイルです。
このエンジンオイルによる潤滑と冷却がきちんと行われていないと、エンジン内部は摩耗してしまい本来持っているパワーを発揮できなるばかりか、最悪の場合は焼きついて始動不能になってしまいます。
エンジンオイルは劣化するとその性能を発揮できなくなる
人間の血液と同様に、エンジンオイルも最適な状態でないとそのポテンシャルを発揮することはできません。
血液の場合だとサラサラのほうがいいですが、エンジンオイルの場合は粘り気(粘度)が保たれているほうがベストコンディションです。
エンジンオイルが劣化するとこの粘性がなくなって水のような状態になり、エンジン内部の摺動面にうまく保護膜を形成できなくなってしまいます。
なのでそういった状態になる前にきちんと交換してエンジンオイルの粘度が維持されていることが重要です。
なるほどー
10万キロを超えるような過走行の中古車の良し悪しを見分けるには、まずはエンジンオイルがきちんと交換されてきたかというメンテナンス履歴を確認すればいいんですね。
でも具体的にはエンジンオイルのメンテナンス履歴ってどうやって確認すすればいいんですか?
中古車のエンジンオイルのメンテナンス履歴を確認する方法には以下の3つの方法があるよ
エンジンオイルのメンテナンス履歴を確認する方法
点検整備記録簿(メンテナンスノート)で確認する
新車ディーラーでオイル交換などのメンテナンスが行われてきた車は、車両に備えられている点検記録簿(メンテナンスノート)に点検整備の記録が記載されていますので、そちらを見ればオイルメンテナンスの履歴を確認できます。
ただ新車ディーラではなく、ガソリンスタンドやオートバックスなどのカー用品店でオイル交換を行った場合は点検記録簿には記載されていないことが多いので、点検記録簿だけでオイルメンテナンスの履歴を判断するのは難しいです。
オイルレベルゲージで確認する
オイルレベルゲージはオイルの残量をチェックをするときに使いますが、オイルの劣化状態も確認する事が出来ます。
オイルレベルゲージを抜き差ししてみて付着しているオイルが真っ黒であったり、粘り気がなく水のようにサラサラだとオイルがかなり劣化している状態で、その状態で乗られてきた車だと推測できます。
特に中古車はオークションで仕入れた現状のまま店頭にとりあえず並べて成約されてから点検整備して渡すケースも多いので、エンジンオイルの状態はそれまで乗られていた状態を表しているといえます。
オイル注入口のキャップに付着したオイルの状態で確認する
もう一つはエンジンのヘッドカバー上にある、オイルフィラーキャップと呼ばれるエンジンオイル注入口のキャップの裏側をチェックすることです。
オイルフィラーキャップの裏側にタール状のものがべっとりと付着していたらその車はほとんどエンジンオイルを交換せずに乗られてきた可能性大です。
こういう状態が確認される中古車は絶対に手を出さない方がいいです。
点検記録簿だけではその車の良し悪しを見極めるのは難しいんですね。
特に10万キロを超えるような中古車の中から程度が良くてコスパに優れた1台を見つけ出すには、自分の目でしっかりと現車確認するのが大切なんだ。
消耗品や10万キロでの交換が推奨されている部品が交換されているか
次に走行距離が10万キロを超えると交換が推奨される部品としては、
などが挙げられます。
タイミングベルトは10万キロで交換が必要?
タイミングベルトの交換が推奨される走行距離は10万キロです。
出来れば10万キロを越える前の8万キロあたりで交換したほうが良いです。
ただ最近の新型車ではほとんどが交換不要のタイミングチェーンに切り替わっています。
なので10万キロ以上走行した中古車でもよほど古い年式の車でない限り、今はタイミングベルト交換はそれほど気にする必要はないと思います。
ちなみにタイミングベルトは劣化が進んで限界を超えると前触れもなく突然切れます。
そして切れると完全に走行不能になってしまい車は停止してしまいす。
タイミングベルトが切れたら車は動けなくなるんですね。
もし高速道路のまん中でそんなことが起こったら・・
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
タイミングベルト切れは突然起きてとっても危険な故障だから絶対に起きないように、もしタイミングベルト仕様で10万キロ超えの中古車を選ぶ場合は交換されているか確認するようにしよう。
ブレーキキャリパーは走行距離10万キロを超えると交換が必要か?
ブレーキキャリパーも10万キロを超えると交換する(されている)方が望ましいです。
ディスクブレーキはディスクローターをブレーキパッドで挟んで制動力を発生させています。
ブレーキパッドはディスクローターとの間に大きな摩擦力を発生させるためだんだんと摩耗していきます。
摩耗時に発生するブレーキパッドの粉がブレーキダストと呼ばれ、細かな粒子がブレーキの可動部分に付着し堆積していきます。
堆積が進みそこに泥水などの水分がかかると固まってしまい、可動部分の固着が発生します。
ブレーキキャリパーの固着は走行距離が10万キロを超えるような車には多く発生しますので、10万キロオーバーの中古車なら交換済みの車両を選ぶ方がよいでしょう。
ブレーキキャリパーが固着するとディスクローターもダメージを受ける
ブレーキキャリパが固着するとブレーキパッドとブレーキディスクローターが摩擦接触したままの状態となり、その状態で走行を続けるとブレーキディスクが高温となり変形等のダメージを受けます。
怖いのはブレーキディスクがどんどん高温になるとブレーキ系統の部品が溶損したり最悪は発火して車両火災が発生するケースもあることです。
走行中に引きずるような違和感を感じたりブレーキを踏んだ時に振動が発生する時はブレーキキャリパの固着とディスクの変形が疑われるので、速やかに整備工場で確認してもらいましょう。
ブレーキキャリパの固着は車両火災にも繋がるんですね。。
コワイ・・
ラジエターなどの冷却系も10万キロでは交換が必要なの?
走行距離が10万キロを超えるとラジエターからの冷却水漏れトラブルも起こりやすくなるので、必須ではありませんが交換されている方が安心です。
特に最近の車は樹脂製のラジエタータンクを備えていますが、この樹脂タンクが冬場の路面に撒かれる塩化カルシウムの影響を受けクラックが入ったり、ラジエター本体とのカシメ部の腐食等により冷却水漏れが発生しやすくなります。
冷却水が漏れるとエンジンがオーバーヒートしてしまいこちらも走行不能状態になります。
10万キロ以上走行した中古車の場合は、まずはラジエターのサブタンク内の冷却水が極端に減っていないかをチェックしましょう。
ハイブリッド車やEVのバッテリーの寿命は10万キロ?
結論から言うとハイブリッド車のバッテリーの寿命は10万キロではなくそれ以上です。
2019年にトヨタ自動車はハイブリッド車のバッテリーの保証期間を延長を発表していますが、延長前の保証走行距離も約16万キロです。
トヨタ自動車(Toyota)の米国部門は10月10日、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車のバッテリーの保証期間を、新車登録から10年間/走行距離15万マイル(約24万km)に延長すると発表した。
従来、米国でのトヨタの電動車のバッテリー保証期間は、新車登録から8年間/走行10万マイル(約16万km)だった。
response.jp
保証期間に定める走行距離までは車の機能を損なうことなく、バッテリーを使うことができるということですね。
EVの場合のバッテリー寿命はハイブリッドより航続可能距離に影響する
ハイブリッド車やEVのバッテリーは充放電を繰り返すとだんだんと劣化していき一度の充電で蓄えられる電気の量が少なくなります。
ハイブリッド車の場合だとバッテリー残量が少なくなるとエンジンのみでの走行になり航続可能距離が少なくなりますが、もともとハイブリッド車はバッテリー容量の3割程度しか使っていないため、極端に航続可能距離が短くなるようなことはありません。
EVの場合は動力源がバッテリーのみなのでバッテリーの劣化がもろに航続可能距離の低下に繋がってきます。
日産リーフだと走行距離1万キロ当たりバッテリーの容量は約1%減少(劣化)するそうで、単純に考えると10万キロ走行で約10%減少することになります。
バッテリー容量が10%減ったら航続可能距離はどうなるの?ってことですが日産リーフの場合だとおそらく一回の満充電で100㎞走れないレベルになるのではないかと思います。
充電するのにも結構時間がかかるのに、満タンに充電しても100㎞走れないなんて・・
充電のされ方(普通充電or急速充電)によってもバッテリーの劣化は大きく変わってくるんだ。
そういったことを考えると走行距離の多いEVには手を出さないほうが無難だね。
まとめ
・中古車価格は10万キロを境に大きく下がる
・10万キロ超えの中古車を選ぶときは、その中古車がきちんとメンテナンスされきたかが重要
・特にエンジンオイルと消耗品のメンテナンス・交換が重要
・ハイブリッド車のバッテリー寿命は10万キロ程度の走行距離なら問題なし
・バッテリーの劣化が航続距離に影響するEVは10万キロを超える中古車は手を出さない